
五島美術館

新装開館記念展「時代の美 五島美術館・大東急記念文庫の精華 桃山・江戸編」
期間:1月5日(土)~2月17日(日)

伊賀耳付水指 銘 破袋
緑のバケモノ。第一印象はこれ。古田織部が豊臣秀頼家臣の大野治房宛の手紙(関東大震災で焼失)で「今後これほどのものは出てこないだろう」としている。
焼成中に下半分が沈み割れ袋のように膨れている。普通なら失敗作として捨てられる運命だったろうが織部に見出され現代まで残った。
加藤清正 肖像画
清正の従兄弟で家臣の中川寿林が描いた、清正42歳の時(1603年)の寿像。
千利休消息 横雲の文
大徳寺聚光院に宛てたもので。東山御物であり利休が所持していた「橋立」の壷を聚光院に預けるが自分の判を持たない物には、決して渡すなとの内容。渡してはならない相手とは豊臣秀吉であったようで、2人の関係が緊迫している様子が窺えます。
武野紹鴎消息 句入文
紹鴎が31歳の時に書いた手紙で、佐久間右衛門尉なる人物よりの茶会の誘いに対する返事をしている。この佐久間右衛門尉を図録では織田信長家臣の佐久間信盛とし、展示会の解説ではその父としている。信盛から父に変更したのは年代的に信盛では不都合が生じるからだろうが、父親ならOKなのかと言うと堺の紹鴎と尾張の佐久間氏との関係が不明なように思われる。佐久間某とは誰なのか?謎の消息です。
書状ではこの他に信長・秀吉・明智光秀・織部・遠州が、直筆本ではシーボルト!がありました。
茶碗の展示も多く楽焼では楽三代(長次郎・常慶・ノンコウさん)に光悦までありますし、黒織部沓形茶碗(わらや)・松平不昧所持の志野茶碗(梅が香)に瀬戸黒茶碗(武蔵坊)と多彩。
しかしながら茶入は1点のみだし茶杓はゼロ。ここは今後に期待といったところです。